患者様向けはこちら

患者様向けはこちら

漏斗胸について

  • 漏斗胸とは、先天的に胸骨や肋骨は変形して胸の中央部が凹む病気で、約1000人に一人の確率で起こります。現在はっきりとした原因は不明で、女子より男子が四倍も多いといわれています。

    胸の中央部がくぼむことにより心臓や肺が圧迫されます。そのため、心臓が左側に押しやられ、心機能や肺機能に影響を与えることもあります。

    運動時に息切れ、胸痛・動悸を経験したり、呼吸器疾患や心臓の超音波検査で僧房弁逸脱症(そうぼうべんいつだつしょう)がみられることもあります。
    漏斗胸は、生まれた時は軽度でも、成長と共に進行することもあります。また、10代の成長期に陥凹が進行することもあります。
    深刻なことに漏斗胸で悩んでいる人たちは、美容的に大きな精神負担になり自分自身に否定的なイメージを持ったり、自信をなくしたりという心の問題を抱えることもあります。

    ※本サイトに掲載されている医療情報は医師の監修を受けていますが、疾患の程度や症状は個人差があるため、実際の治療については医師の診療を受けて、その指示に従って下さい。

  • 漏斗胸

特徴

ペクタスバー

  • ペクタスバーは、両端に丸みを付け、エッジ部は面取り加工しているため、インプラントの際の挿入時に組織への損傷が押えられます。
  • ペクタスバーは、7インチ(17.8cm)から17インチ(43.2cm)までの様々な長さのバーが用意されており、ほとんどの漏斗胸整復に対応できます。
  • ペクタスバーのすべての器具は、Nuss法による手術の簡素化を高めるようデザインされています。
  • オプションのペクタスバー専用滅菌ケースは、ペクタスバー全種類と各種器具を収納できます。

Nuss法

【低侵襲性外科手術】
Nuss法による漏斗胸整復では、軟骨切開や切除は必要ありません。前胸壁の切開、胸筋弁の挙上、助軟骨の切除、胸骨の骨切りを行う必要はありません。

【手術時間を短縮】
胸部再建には4〜6時間が必要ですが、Nuss法による漏斗胸矯正は早い場合では約40分で完了するなど、手術時間の大幅な短縮につながります。

【最小限の出血】
出血は、一般的な従来法では300ccであるのに対し、Nuss法では一般に10〜30ccです。

【日常生活への早期復帰】
ペクタスバーで治療した患者が日常の生活に復帰するまでの平均時間は1ヵ月です。

【長期的に維持される胸部整復】
ペクタスバーの治療により、呼吸は容易になり、正常な胸郭の拡張性と柔軟性が得られ、肺や心臓は適切に成長します。

【長期的に維持される外見矯正的な手術結果】
漏斗胸の低侵襲性整復に関する10年間にわたる研究では、優れた長期的な手術結果が示されています。
The Journal of Pediatric Surgery,1998;33(4).Donald Nuss,M.B.,Robert E.Kelly,Jr.,M.D,;Daniel P.Croitoru,M.D.;Michael E.Katz M.D.

適応と患者の選択

Nuss法テクニック

  • 漏斗胸患者では、肋骨と助軟骨に過度の伸性も硬直性も見られない時期である4歳から20歳の間に外科的再建を行うことが検討されます。理想的な年齢は、思春期の成長期に達する前の6〜12歳です。

    すべての患者に必要かつ全般的なな理学的検査と病歴の調査を行い、以下の基準に基づいて無症候性か否かに分類します。

    1.運動不耐性、胸痛、呼吸困難に関連または類する症状を示したことがあるか
    2.心臓の偏位や肺への影響が見られる重篤な漏斗胸であると医学的に判断されたか

  • Nuss法テクニック

無症候性の患者には、姿勢を矯正するための運動プログラムを与え、漏斗胸の進行を追跡するために6ヶ月ごとに再評価します。症状によっては、その後症候性のグループに移されることがあります。

症候性の患者には、CTスキャン、肺機能検査、心臓検査を受けて頂きます。手術の可否は、これらの検査で得られた客観的基準の結果をもとに判断します。客観的基準には、3.2以上のCTインデックス(ハラー指数)、無気肺、肺機能異常、心臓圧迫、僧帽弁脱出、心雑音、房室伝導遅延が含まれます。これらの患者には、マルファン症候群、エーラース・ダンロス症候群、ポーランド症候群などの他の異常が見られる場合があります。

手術日の前に、患者の胸郭を測定して、ペクタスバーの長さを決定します。巻尺またはテンプレートを利用して、漏斗胸の最も深い部分をまたぐように右中腋窩線から左中腋窩線までを測定すると適切な測定ができます。この測定では胸郭の外周を測定していますが、ペクタスバーは胸郭の内周に挿入されるため、実際は測定した距離よりも1〜2cm短いペクタスバーを使用します。