生体吸収性材料について
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生体吸収性とは

生体吸収性とは“材料が生体内で分解、吸収される性質”をいいます。土壌や海水中では微生物がもつ酵素によって材料が分解していくのに対して、生体内では、いかなる酵素も必要とせず、単なる物理化学的な加水分解によって高分子材料が消失していく場合が多くみられます。酵素による場合は生分解性と呼び、酵素を必要としない場合は生体吸収性または分解吸収性と呼ばれますが、厳密な区別はありません。一般的に合成高分子は非酵素的に分解し、天然高分子は酵素的分解を受けます。代表的な吸収性高分子を図2に示します。

図1 生体吸収性の様式

図2. 吸収性材料の化学構造

一般的に合成高分子は非酵素的に分解し、天然高分子は酵素的分解を受けます。
代表的な吸収性高分子を図2に示します。

表1. 吸収性合成材料の物性

    略号 結晶・非晶性 融点
(℃)
ガラス転移温度
(℃)
分解吸収期間
合成高分子 ポリグリコール酸 PGA 結晶性 230 36 2~3ヶ月
L-乳酸-グリコール酸共重合体(10:90) P(L-LA/GA)(10:90) 結晶性 200 40 10週間
D, L-乳酸-グリコール酸共重合体(50:50) P(L-LA/GA)(50:50) 非晶性 45~50 1~8週間
D, L-乳酸-グリコール酸共重合体(85:15) P(L-LA/GA)(85:15) 非晶性 40~45 3~7ヶ月
グリコール酸-ε-カプロラクトン共重合体(75:25) P(GA/CL)(75:25) 結晶性 200 -36~15 4ヶ月
ポリ-L-乳酸 P-L-LA 結晶性 170 56 3~5年
ポリ-D, L-乳酸 P-D, L-LA 非晶性 55~60 2~3ヶ月
L-乳酸-ε-カプロラクトン共重合体(75:25) P(L-LA/CL)(75:25) 結晶性 130~150 15~30 1年
L-乳酸-ε-カプロラクトン共重合体(50:50) P(L-LA/CL)(50:50) 非晶性 90~120 -17 6~8ヶ月
ポリ-ε-カプロラクトン PCL 結晶性 60 -60 5年以上
ポリ-p-ジオキサノン PDS 結晶性 106 <20 6ヶ月

参考図書:再生医工学((株)化学同人) 編者:筏 義人先生
     第5章 足場用吸収性材料(p42、p43)

参考図書:再生医工学((株)化学同人) 編者:筏 義人先生
第5章 足場用吸収性材料(p42、p43)